吹奏楽もぐら
 

私の音楽歴
小学校中学年

 小学校3年生か4年生のとき,音楽の時間にハーモニカ(当時は鍵盤ハーモニカではなく,普通のハーモニカを使っていた)が上手に吹けなくて,放課後に残されたことがある。曲は,確か「みなと」という歌だったような気がする。
 私の他にも,男の子が2人残されて,3人で教室に残って練習していた。先生は,教室にはいらっしゃらなかったと思う。
 その曲を2番まで吹くことができれば帰ってもいいということになっていたのだろうか。「1番ができれば,2番は同じことを繰り返せばいいだよ」と言う私に,いっしょに残された級友が「あ,そうか!2番って1番と同じなのか!」と言って驚いていた。

 これも小学校4年生のときだったと思う。
 音楽の時間にリコーダーで何かの曲を吹いた。曲名は忘れたのだが,その曲の中に「レシド」というような旋律があった。この中の「シ」というのは,リコーダーで出せる最も低い「ド」のさらに半音下の「シ」なのだ。 最も低い「ド」というのは,「全部の指をふさいだ音」なのだ。でも,吹かなければいけない旋律には,さらにそれより半音低い「シ」があるのだ。もうふさぐことのできる穴は全部ふさいでいるのだ。どうやってそれより低い「シ」を出せというのか。
 「シ」が出せない私は,いつまでたってもこの曲を吹くことができなかった。もちろん,クラスの大半の児童は吹けなかった。ところが,先生は「○○さんと△△さんは吹けましたよ」とおっしゃった。○○さんと△△さんは,みんなの前で模範演奏してくれたような気がする。でも,どうやって「シ」を出しているのか私にはわからなかった。
 ○○さんは私のすぐそばに座っていたので,こっそり聞いてみた。
「シの音,どうやって出すの?」
 ○○さんは教えてくれた。
「息をそうっと出して,それっぽい音を出すだよ」
 「ガーン」である。わざと息の圧力を弱くして,ピッチを下げていただけである。「そういうのって,あり?」だった。
 大学生になって,教員免許を取るために音楽の授業を受けたとき,リコーダーの先っぽの穴を膝で半分ふさぐと「シ」が出るのだと教わった。教員になって何年かしてから,それが運指表にちゃんと載っていることを知った。

2002.08.24.(Sat.)