吹奏楽もぐら
 

踊る吹奏楽部


 高校や中学の吹奏楽部のコンサートに行くことがよくある。 ポップスステージの中で,1年生が踊るのを見ることが多い。
 私は,あれが嫌いだ。
 なぜ,踊るのだろう?
 まだ十分に演奏できない1年生にも,コンサートへ出演する機会を与えるためだろうか。
 1年生の踊りは,ほほえましいが,うまくはない。当たり前だ。吹奏楽部なのだ。ダンス部ではないのだ。ダンスの基礎練習を毎日やっていたわけでもないのに,にわか仕立てで振り付けをしても,それは忘年会の余興以上になるわけがないのだ。
 そんな踊りが,演奏しているバンドの前で繰り広げられるので,肝心の演奏がぼやけてしまう。
 もっとも,踊っている1年生はとても楽しそうだし,満足感もあるようだ。バックで演奏している先輩たちも,きっと楽しんでいるに違いない。
 でも,それがコンサートの質を落としていることも間違いないと思うのだ。
 1年生に踊らせるのなら,楽器と同じように,ダンスのコーチをつけて基礎からみっちり練習させてほしい。基礎からみっちり練習しているマーチングは,あんなに素晴らしくて感動的ではないか。
 コンクールと違って,コンサートは聴いてくださっている聴衆に対する責任があると思う。
 そんなわけで,私はH中学の定期演奏会で踊ることを許さない。演奏者に多少の振り付けや演出をすることはあるけれど,基礎練習もやっていない踊りをお客様にお見せするのは,どうしても納得できないからだ。

2004.09.08.(Wed.)